在宅ワークに有線モニターヘッドホンを選ぶ理由とは?
在宅ワークで使うヘッドホンには、大きく2つの系統があります。ひとつは移動中の快適さを重視したノイズキャンセリング型。もうひとつが、録音した音をそのまま確認するために作られたモニターヘッドホンです。
モニター型の設計思想は「聞き心地を良くしない」ことにあります。低音を膨らませたり高音を華やかにしたりせず、入ってきた信号を素直に出す。そのため、自分が録った打ち合わせ音声にノイズが乗っていないか、動画のナレーションが割れていないかといった粗探しの用途に強いという性格を持ちます。
有線であることも、在宅ワークでは実用上の意味を持ちます。Bluetooth接続にはどうしても遅延があり、映像と口の動きがずれる場面が出ます。ペアリングを待たされない・電池切れがない・音声の遅延を考えなくていいという3点は、毎日決まった机で使う環境ではメリットとして効いてきます。
メリット・デメリット
メリット
- 音を加工しないので粗が見つかる: 録音のノイズや音割れ、口元とマイクの距離の変化に気づきやすい。編集作業の確認用に向く。
- 遅延がない: 有線接続なので映像との同期ずれを気にせずに済む。動画の確認やオンラインでの共同作業で効く。
- 電池を管理しなくていい: 充電残量を意識せず、会議直前に切れる事故が起きない。
- 長く使える構造の製品が多い: 業務用として設計されたモデルは、イヤーパッドなど消耗部分の交換を前提に作られている。
デメリット
- ケーブルが常に机の上にある: 2.5〜3.0mのコードは取り回しの負担になり、椅子のキャスターに巻き込む事故も起きる。
- ノイズキャンセリングがない: 生活音を消す機能は付いておらず、遮音は物理的な密閉のみに頼る。エアコンや換気扇の低い音は残る。
- 重さと側圧で疲れる: 200〜285g前後の重量があり、密閉型ゆえに耳が蒸れる。数時間の連続装着では休憩が要る。
- プラグが機器に合わないことがある: 標準6.3mmプラグの製品はPCやスマートフォンに直挿しできず、変換プラグかヘッドホン出力を持つ機材が必要になる。
3機種の比較
| 製品名 | 特徴 | こんな人向け |
|---|---|---|
| ソニー MDR-CD900ST | 国内スタジオの定番。標準プラグ直出しケーブル | 音の粗を最優先で見つけたい人 |
| audio-technica ATH-M50x | 着脱式ケーブル3種+折りたたみ。汎用性が高い | 1本で在宅と外出を兼ねたい人 |
| audio-technica ATH-M20x | 190gと軽量。価格を抑えた入門機 | まず試してみたい人 |
おすすめ製品の比較
1. ソニー MDR-CD900ST
国内のレコーディングスタジオで長く使われてきた定番機です。ソニー・ミュージックスタジオの製品情報によると、形式は密閉ダイナミック型、ドライバーユニットは40mmのドーム型(CCAW採用)。再生周波数帯域は5〜30,000Hz、インピーダンスは63Ω(1kHzにて)、音圧感度は106dB/mW、最大入力は1,000mW(IEC)です。質量は約200g(コード含まず)、コード長2.5m、プラグはステレオ標準プラグです。
この3機種で最も軽い部類(約200g)で、感度106dB/mWと鳴らしやすいのが実用面の利点です。中高域がはっきり出るため、話し声のノイズや歯擦音のようなアラが見つけやすく、収録した音声のチェックには向いています。
導入時に必ず引っかかるのがプラグの形状です。ステレオ標準プラグ(6.3mm)なので、3.5mmジャックのノートPCやスマートフォンには変換プラグが要ります。オーディオインターフェースやヘッドホンアンプを既に持っているなら問題になりませんが、PC直挿しを想定しているなら購入時に変換プラグも合わせて用意してください。コードは2.5mの1本のみで、長さを選ぶ余地はありません。音の傾向も鑑賞向けの味付けはなく、低音の量感を期待して買うと肩透かしになります。
2. audio-technica ATH-M50x
オーディオテクニカのMシリーズ上位モデルです。公式の製品ページによると、ドライバーはφ45mm(CCAWボイスコイル)、再生周波数帯域は15〜28,000Hz、インピーダンス38Ω、出力音圧レベル99dB/mW、最大入力1,600mW、質量は285g(コード除く)。プラグはφ6.3mm標準/φ3.5mmミニの金メッキステレオ2ウェイで、折りたたみ機構と前後90度の反転モニター機構を備えます。
このモデルの実用上の強みは着脱式コードが3種類付属する点です。カールコード1.2m(伸長時約3m)、ストレート3.0m、ストレート1.2mが同梱されるため、机で使うときは短いストレート、機材の裏に回すときは3mと、環境に合わせて替えられます。ケーブルが断線しても本体ごと買い替える必要がありません。折りたたみができるので、在宅と外出先の両方で使う人にも向きます。片耳だけ外して周囲の音を聞く反転モニター機構も、家族の呼びかけに応じる場面で役立ちます。
弱点は285gという重量です。3機種で最も重く、密閉型の側圧と合わさって長時間の装着は負担になります。1時間ごとに外す前提で考えたほうが現実的です。またインピーダンス38Ωに対して出力音圧レベル99dB/mWとCD900STより低いため、出力の弱い機器では音量が伸び悩む場合があります。
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3. audio-technica ATH-M20x
同じMシリーズの入門モデルです。公式の製品情報によると、ドライバーはφ40mm、再生周波数帯域15〜20,000Hz、インピーダンス47Ω、出力音圧レベル96dB/mW、最大入力700mW、質量は約190g(コード除く)。コードは3.0mの片出しで、プラグはφ6.3mm標準/φ3.5mmミニの金メッキステレオ2ウェイです。
約190gという軽さが最大の武器で、3機種で最も装着の負担が小さくなります。プラグも3.5mmミニと6.3mm標準の両対応なので、PCに直接挿せます。「モニターヘッドホンが自分の作業に必要かどうか、まず確かめたい」という段階なら、この機種から入るのが無駄になりにくい選択です。
割り切られている部分もはっきりしています。コードは3.0mの片出しで着脱できず、断線すると修理か買い替えになります。折りたたみ機構もないため、持ち運び時にかさばります。再生周波数帯域は15〜20,000Hzと上位機より狭く、最大入力700mW・出力音圧レベル96dB/mWは3機種で最も控えめです。細かい音の粗探しを突き詰める用途では、M50xやCD900STとの差が出ます。
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選び方のポイント
- 初めての1本なら: ATH-M20x。約190gと軽く、3.5mmミニプラグでPCに直挿しできるので、変換プラグを買い足さずに始められます。
- 1本で在宅も外出も兼ねるなら: ATH-M50x。着脱式コード3種と折りたたみ機構があり、使う場所に合わせて形を変えられます。
- 音の粗を最優先で探すなら: MDR-CD900ST。ただし標準プラグなので、オーディオインターフェースやUSB DAC・ヘッドホンアンプと組み合わせる前提で考えてください。
判断の軸は「音質」よりも先に、プラグの形・ケーブルの着脱可否・重量の3つです。ここを外すと、音がどれだけ良くても毎日は使わなくなります。
まとめ
モニターヘッドホンは、聞いて気持ちよくなるための道具ではなく、音の問題を見つけるための道具です。この前提で選べば、3機種の位置づけははっきりします。まず試すならATH-M20x、机と外出を兼ねるならATH-M50x、スタジオ基準の聞こえ方を求めるならMDR-CD900STです。
一方で、周囲の騒音を消したい・移動中も使いたいという目的なら、モニター型は最適解ではありません。その場合はノイズキャンセリングヘッドホンや両耳ワイヤレスヘッドセットのほうが目的に合います。机の上に置きっぱなしにするなら、ヘッドホンスタンドを用意するとケーブルの絡まりが減ります。価格や在庫は変動するため、購入前にAmazonの商品ページで最新の情報をご確認ください。