デスクの上のモニターは、置いてあるだけである

在宅の作業環境で見落とされやすいのが、机の上の重量物である。27インチのモニターは本体だけで5kg前後あり、それがスタンドで立っているだけの状態で、目の前に置かれている。作業椅子に座っているとき、その真下に自分の脚がある。

家具そのものの転倒防止は意識されるのに、モニターとデスクトップPCは対象から外れがちである。理由は単純で、机の上にあるものは「動かないもの」として扱われるからだ。実際には、モニターは重心が高く、接地面が小さく、机の天板は摩擦の少ない化粧板であることが多い。揺れに対しては、家具より不利な条件が揃っている。

対策の道具は大きく2種類ある。ベルトで機器と机を結ぶものと、ジェルで接地面の滑りを止めるものである。どちらを選ぶかは、モニターの形と机の材質で決まる。

メリット・デメリット

メリット

  • モニターやPCが倒れる・落ちる事故を減らせる。作業机の場合、倒れる先はほぼ確実に自分の側である

  • 数千円で対策できる。モニター1台の買い替えより桁が2つ小さい

  • ベルト式は工具や穴あけが不要な製品が多く、賃貸でも導入しやすい

  • ジェル式は見た目にほとんど影響しない。機器の下に敷くだけで済む

  • 地震時だけでなく、掃除中や配線作業中にぶつけて動かす事故にも効く

デメリット

  • ベルト式は取り付け部品を両面テープで固定する製品が多く、貼った跡が残る場合がある。机の天板やモニター背面の塗装が弱いと、剥がすときに一緒に持っていかれることがある

  • ジェル式は接地面が平らでないと効かない。脚が細いスタンドや、ゴム脚が高い機器では密着しない

  • ジェル式は経年で汚れを吸って粘着力が落ちる。貼りっぱなしで何年も放置すると効果が下がる

  • 効果は「耐震度」「震度」の試験条件下のものである。条件が違えば結果も違う。ゼロにはできない

  • ベルトを付けるとモニターの位置調整が面倒になる。頻繁に机の配置を変える人には向かない

  • モニターアームを使っている場合、対策の対象はモニターではなくアームを固定している天板側になる。同じ道具では解決しない

おすすめ製品の比較

注意: 以下は2026年8月20日にメーカー公式ページで確認した仕様である。価格は変動するため、購入前に商品ページで最新の情報を確認してほしい。

1. サンワダイレクト 200-QL026

ディスプレイの転倒・落下を防ぐベルトである。公式の商品ページによると、取り付け部品は強力な両面テープで取り付ける方式で、設置後も一時的に動かせるようにバックルが着脱可能になっている。ベルトの長さは設置場所に合わせて調節できる。

公式に記載されている仕様は、取り付け部品サイズが幅約4.2×高さ4.2cm、製品重量が約40g、ベルト長が約53.5cm、セット内容が本体・アルコールパッド2枚・取扱説明書、生産地は日本である。商品名には「震度6強 耐震試験済み」と明記されている。直販価格は2026年8月20日時点で2,480円(税込)だった。

注目したいのはアルコールパッドが2枚付属している点である。両面テープで固定する道具は、貼る面の脱脂で保持力が大きく変わる。付属しているということは、脱脂を前提とした設計だという意味であり、省くと本来の強度が出ない。

デメリットは、両面テープを使う以上、貼り跡の問題が残ることである。賃貸で退去時の原状回復が気になる机には、貼る位置を選ぶ判断が要る。

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2. サンワダイレクト 200-QL003

こちらはベルトではなく耐震ジェルである。公式の商品名では「耐震マット・テレビ&パソコン転倒防止マット・耐震度7・四角型」と説明されている。機器の底面と机の間に貼り、滑りを止める方式である。直販価格は2026年8月20日時点で1,080円(税込)だった。

ジェル式の利点は、見た目を変えないことと、取り付けが容易なことである。モニターの脚の下に置くだけで済み、ベルトのように視界に入らない。

一方で、効き方はベルトと違う。ジェルは接地面の滑りを止めるものであり、機器と机を物理的に結ぶわけではない。接地面が小さい・平らでない機器では密着せず、期待した保持力が出ない。モニターの台座が広く平らなタイプなら向くが、細い脚が2本で立つタイプでは条件を満たしにくい。

また、貼る面がざらついた素材だと粘着しない。机がざらつきのある化粧板の場合は、事前に目立たない場所で試すのが確実である。

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3. サンワサプライ QL-04

メーカー公式ページの製品名は「耐震ディスプレイベルト」で、説明には「ディスプレイとCPUを2本のベルトで固定。耐震度7。」と書かれている。ディスプレイ単体ではなく、ディスプレイとデスクトップPC本体をまとめて対象にする構成である。

デスクトップPCを机の上に置いている人には、この形が合う。PC本体は重量があるぶん、倒れたときの被害も大きい。モニターだけ対策してPC本体を放置していると、対策としては片手落ちになる。

注意点は、2本のベルトで固定する構成上、機器の配置が固定されることである。PCを頻繁に開けて中身をいじる人は、そのたびにベルトを外すことになる。掃除やパーツ交換の頻度が高いなら、ジェル式との併用のほうが運用は楽になる。

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選び方の順番

道具を選ぶ前に、自分の机で3つを確認してほしい。

1. モニターの接地の仕方 — 台座が広く平らならジェルが効く。細い脚で立っているならベルト側になる
2. 机の天板の材質 — メラミン化粧板のように平滑な面はジェルが効きやすい。無垢材や凹凸のある面は苦手である
3. 貼り跡を許容できるか — 許容できないなら、ベルトの取り付け部品を天板の裏や側面など、見えない位置に回せるかを先に確認する

そのうえで組み合わせを決める。

  • モニター1台だけが対象 — ベルト式1本。200-QL026 のような単体製品で足りる

  • モニターとデスクトップPCの両方 — QL-04 のような2本セット、またはベルトとジェルの併用

  • 見た目を変えたくない・貼り跡を作りたくない — ジェル式。ただし接地面の条件を満たすかを先に見る

  • モニターアームを使っている — この記事の道具では解決しない。対策すべきは天板とアームの固定であり、補強プレートやグロメット固定の検討になる

最後に、期待値の話をしておきたい。「耐震度7」「震度6強耐震試験済み」といった表記は、メーカーが定めた条件下での試験結果である。実際の揺れは方向も周期も違うため、倒れないことを保証するものではない。それでも、何もしない状態と比べれば結果は変わる。数千円で減らせるリスクとして扱うのが妥当な位置づけである。

なお価格は時期によって変動する。掲載しているのは2026年8月20日時点で確認した仕様と直販価格であり、購入前に商品ページで最新の情報を確認してほしい。