トラックボールは「手首を動かさずにカーソルを動かせる」という一点で、通常のマウスと役割が違います。その中でロジクールの MX ERGO S は上位機の位置づけで、2024年9月24日に発売されました。型番は MXTB2 です。

同時に下位機の M575SP も発売されており、両者は見た目こそ似ていますが、価格が2倍以上違います。どちらを選ぶかで迷う人が多い組み合わせなので、先に違いを数字で並べます。

MX ERGO S で何ができるのか

静音クリック(前モデル比80%のノイズカット)

MX ERGO S の最大の変更点は静音クリックです。ロジクールの発表では、前モデルの MX ERGO と比較して80%のノイズをカットしたとされています。M575SP も同様に、前モデル M575 比で80%カットです。

在宅勤務のオンライン会議や、家族が寝ている時間帯の作業では、クリック音は思っているより気になります。トラックボールは手を動かさない代わりにクリック回数が相対的に増えるので、この改良は効きます。

8つのボタンとチルト機能

ボタン数はチルト機能を含めて8個です。下位機の M575SP は5個なので、3つぶん多いことになります。戻る/進む、コピー/貼り付け、アプリ切り替えといった操作を割り当てられるかどうかは、この差で決まります。

センサーは2,000dpi

センサー解像度は 2,000dpi で、初期値は380dpi です。M575SP も上限は同じ 2,000dpi で、初期値が400dpi という違いがあります。上限が同じなので、「上位機だから細かく動かせる」という差はありません。

バッテリーは最長120日、Type-C to Type-C で充電

フル充電で最長120日間使えます。充電はType-C to Type-C で、手持ちのケーブルがそのまま使えます(ケーブルは別売です)。1分間の充電で24時間使える急速充電にも対応しています。

接続方式と対応OS

Bluetooth Low Energy または Logi Bolt レシーバーで接続します。対応OSは Windows 10以降、macOS 11以降、iPadOS 14以降、ChromeOS、Linux に加えて、Android 9.0以降にも対応します。Android 対応は M575SP には無く、MX ERGO S だけの項目です。

購入前に知っておきたいデメリット

259g は「据え置き」の重さ

ここが一番大きい点です。寸法は 100×51×133mm、重量は 259g です。M575SP は 100×48×134mm で 145g なので、MX ERGO S は約1.8倍の重さがあります。

トラックボールは本体を動かさないので重さは欠点になりにくい、という説明をよく見ます。それは据え置きで使う限りは正しいのですが、カバンに入れて持ち歩く前提だと話が変わります。259g はモバイルマウスの3〜4倍で、ノートPCと一緒に運ぶには軽くありません。持ち歩くつもりなら、この数字を先に見てください。

19,580円は下位機の2倍以上

ロジクールオンラインストアの価格は、MX ERGO S が 19,580円(税込)、M575SP が 8,470円(税込) です。差額は11,110円で、2.3倍です。

この差で得られるのは、ボタン3つぶん、充電池(対 乾電池)、Android 対応、そして本体の作りです。センサーの上限は同じ 2,000dpi なので、カーソルの動かしやすさそのものに差は出ません。ボタンを3つ増やすために11,110円を出す価値があるかは、いま使っているマウスでボタンをいくつ使っているかで決まります。

バッテリー駆動時間は乾電池の下位機に負ける

MX ERGO S はフル充電で最長120日、M575SP は単三乾電池1本で最長18か月です。月数に直すと約4か月 対 18か月で、充電池の上位機のほうが4分の1以下です。

急速充電があるので実用上困る場面は少ないはずですが、「充電を忘れて止まる」ことが起きるのは MX ERGO S のほうだと理解しておくべきです。乾電池式は充電の管理そのものが要りません。

傾斜角は公表されていない

MX ERGO シリーズは本体を傾けて使えるのが売りですが、発表資料には傾斜角の数値が書かれていません。この記事では確認できた数字だけを載せる方針なので、角度については書きません。角度が購入の決め手になる場合は、販売ページか実機で確認してください。

充電ケーブルは別売

Type-C to Type-C ケーブルは別売です。手持ちのケーブルを流用できるのは利点ですが、1本も持っていない人は買い足しが必要になります。

比較の候補

* ロジクール MX ERGO S(MXTB2)
8ボタン・静音クリック・最長120日のバッテリー・Android対応をまとめて欲しい人向けです。据え置きで長時間使い、ボタンに機能を割り当てて作業を短縮したい人ほど効きます。259gという重さは、持ち歩かない前提なら欠点になりません。
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* ロジクール M575SP
同じ80%の静音クリックを 8,470円(税込)で手に入れられる下位機です。センサーの上限は MX ERGO S と同じ 2,000dpi、重量は145gと軽く、乾電池1本で最長18か月動きます。トラックボールを初めて使う段階なら、まずこちらで自分に合うかを確かめるほうが失敗のコストが小さくなります。
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* ロジクール ERGO M575
静音クリックが入る前の型です。価格が下がっていることがあるので、クリック音を気にしない環境ならこちらで足ります。逆に、家族と同じ部屋で夜に作業するなら静音版を選ぶ理由があります。
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* ロジクール Logi Bolt レシーバー
MX ERGO S と M575SP はどちらも Bluetooth と Logi Bolt の両対応です。Bluetooth の接続が不安定な環境や、BIOS 画面など OS 起動前から使いたい場合は、レシーバー接続に切り替えると安定します。
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まとめ

MX ERGO S が向くのは、据え置きで長時間使い、ボタンに機能を割り当てて作業を減らしたい人です。8ボタンと Android 対応は M575SP には無く、この2点が必要なら価格差に見合います。

逆に、次のどれかに当てはまるなら M575SP を先に検討してください。

  • トラックボールを使ったことがない(合うかどうかを 8,470円 で確かめられる)

  • 持ち歩く(259g と 145g の差は毎日効く)

  • ボタンは戻る/進む程度しか使わない(3つの差に11,110円を払う理由が薄い)

  • 充電の管理をしたくない(乾電池1本で最長18か月)

センサーの上限は両機とも 2,000dpi で同じです。「上位機のほうが精密に動かせる」という理由で MX ERGO S を選ぶのは、数字の上では根拠がありません。選ぶ理由はボタン数・充電方式・Android 対応・本体の作りのほうにあります。

価格・在庫・仕様は変動します。購入前にAmazonの商品ページと販売元の公式情報で最新の内容を確認してください。本記事は2026年8月31日に、ロジクールの発表資料(2024年9月の M575SP / MX ERGO S 発売リリース)で確認した内容にもとづいています。