ドキュメントスキャナーとは?
在宅ワークが続くと、契約書・請求書・保険の書類・学校からのプリントが机の端に積み上がっていきます。複合機のフラットベッドで1枚ずつスキャンする方法もありますが、10枚を超えたあたりで面倒になって結局そのまま放置する、という経験をした人は多いはずです。
ドキュメントスキャナー(シートフィード型スキャナー)は、原稿を給紙トレイにまとめてセットし、両面を一度の通紙で読み取る専用機です。フラットベッドと違い、原稿を1枚ずつ置き直す操作がありません。数十枚の束を放り込んでボタンを押すだけなので、「溜めてから片付ける」使い方に耐えます。
一方で、本を裁断せずに読み取りたい、写真1枚をていねいに取り込みたいといった用途はフラットベッドの領分です。ここを取り違えると「思っていたのと違う」となるので、まず自分が処理したいのが束になった紙なのかどうかを確認してください。
メリット・デメリット
メリット
- 給紙トレイに束のままセットでき、両面を1回の通紙で読み取れる(表裏の並べ替えが不要)
- 原稿サイズの自動検知、傾き補正、白紙ページ除去といった後処理が本体・付属ソフト側で完結する
- 名刺・レシート・カード類など、定型外のものも機種によってはそのまま通せる
- クラウドや共有フォルダへの保存に対応した機種なら、PCを操作せずに取り込みが終わる
デメリット
- 本体が机上のスペースを常時占有する。使う頻度が月1回程度なら、置き場所のコストのほうが高くつく
- 給紙ローラーなどの消耗品が通紙枚数に応じて劣化し、交換の費用がかかる
- ホチキス留めの書類は針を外す必要があり、しわの寄った紙・薄すぎる紙は重送しやすい
- 製本された本は裁断しないと通せない。裁断機の購入が別途必要になる
おすすめ製品の比較
| 製品名 | 特徴 | こんな人向け |
|---|---|---|
| ScanSnap iX1600 | 毎分40枚・80面、給紙50枚、4.3インチのタッチパネル | 家中の書類を一気に片付けたい人 |
| ScanSnap iX1300 | 毎分30枚・60面、給紙20枚、Uターン/リターンの2経路 | 置き場所を最優先したい人 |
| ブラザー ADS-4300N | 毎分40枚・80面、給紙80枚、有線LAN標準搭載 | 家族や複数PCで1台を共有したい人 |
| キヤノン imageFORMULA R40 | 最大40枚/分、USB接続のみのシンプル構成 | 機能を絞って費用を抑えたい人 |
1. ScanSnap iX1600
PFU(リコー)のフラッグシップモデルです。A4カラー両面で毎分40枚・80面、給紙トレイは最大50枚。本体前面に4.3インチのタッチパネルがあり、「請求書はこのフォルダへ」「名刺はこのクラウドへ」といった保存先をプロファイルとして登録し、画面から選んで押すだけで実行できます。PCを立ち上げずに完結する点が、実際の運用では効いてきます。接続はUSBに加えてWi-Fiにも対応します。
デメリットは、本体サイズと価格が上位機相当であることです。給紙50枚に対応する分だけ設置面積が必要で、机の隅に常時置くと圧迫感があります。年に数回しか使わないなら、この速度は過剰です。
2. ScanSnap iX1300
同じ ScanSnap シリーズの小型モデルです。読み取り速度は毎分30枚・60面、給紙トレイは最大20枚と iX1600 より控えめですが、代わりに本体が小さく、トレイを収納した状態で幅296mm・奥行114mm・高さ87mmに収まります。
特徴は給紙経路が2つあることです。束をまとめて通す「Uターンスキャン」と、本体前面から差し込んで手前へ戻ってくる「リターンスキャン」を使い分けられます。後者は背面のスペースが要らないため、壁際に寄せて置けます。厚みのあるカードや二つ折りの原稿も、この経路なら通しやすいです。
デメリットは給紙20枚という上限です。30枚を超える束を扱うと、セットし直す回数が増えて iX1600 との差が体感で出ます。
3. ブラザー ADS-4300N
A4カラー両面で毎分40枚・80面、給紙トレイは80枚と、この4機種で最大です。最大の違いは有線LANを標準搭載していること。ネットワーク上の複数のPCから1台を共有でき、スキャンしたデータをUSBメモリーへ直接保存することもできます。家族それぞれのPCから使いたい、あるいはNASへ流し込む前提で運用したい場合に向きます。原稿の分離にはリバースローラー分離機構を採用しており、束の重送を抑える設計です。
デメリットは、有線LANを活かすためにルーターの近くに設置する必要がある点と、タッチパネル中心の ScanSnap に比べて初期設定でネットワーク周りの知識を少し要求される点です。
4. キヤノン imageFORMULA R40
読み取り速度は最大40枚/分で、上位2機種と同等の速さを持ちながら、接続をUSBに絞ったシンプルな構成です。Wi-Fiも有線LANも無いぶん設定でつまずく箇所が少なく、PCの横に置いて有線でつなぐ使い方なら過不足がありません。日本では「R40 レシートエディション」としてレシート処理向けのソフトを組み合わせた形でも流通しています。
デメリットは、ネットワーク機能が無いため複数PCでの共有ができないことと、本体にタッチパネルが無く操作をPC側のソフトに依存することです。1人で1台のPCから使うぶんには問題になりませんが、家族で共有する前提だと窮屈です。
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選び方のポイント
1. 給紙枚数を「一度に処理したい束の厚さ」で決める — 速度(毎分◯枚)より、トレイに何枚載るかのほうが体感を左右します。セットし直す動作が発生した時点で「放り込んで放置」が崩れるためです。
2. PC無しで完結させたいかを決める — タッチパネル付き(iX1600)やUSBメモリー保存対応(ADS-4300N)は、PCを起動する手間を省けます。逆に常にPCの前で作業するなら不要な機能です。
3. 共有するかどうかを決める — 1人で使うならUSB接続で十分です。家族や複数PCで使うなら有線LAN搭載機かWi-Fi対応機を選ばないと、後から接続方法を変えられません。
4. 消耗品の入手性を確認する — 給紙ローラーは通紙枚数で劣化します。長く使う前提なら、交換部品が単体で買えるかを購入前に見ておくと安心です。
読者タイプ別にまとめると、家中の書類をまとめて片付けたいなら iX1600、置き場所が最優先なら iX1300、家族で共有するなら ADS-4300N、費用を抑えて1人で使うなら R40 が第一候補になります。
まとめ
ドキュメントスキャナーは速度で語られがちですが、在宅ワークでの実感を決めるのは給紙枚数とPC無しで完結するかの2点です。毎分40枚の機種でも、20枚ずつセットし直すなら作業時間はさほど縮みません。
価格は時期や販売店によって変動するため、本記事では金額を断定していません。購入前に必ず現在の販売ページで確認してください。仕様もモデルチェンジや後継機の登場で変わることがあります。
読み取った書類を机の上から本当に無くすには、置き場所そのものを減らす工夫も必要です。あわせて書類スタンド・ドキュメントホルダーや、スキャン後のデータの保存先として外付けSSDによるバックアップの記事もご覧ください。