デスクトップPCで在宅勤務を始めると、最初に詰まるのがネットワークです。ノートPCと違って無線が内蔵されていない機種が多く、ルーターまでLANケーブルを這わせるか、USBの無線LAN子機を挿すかの二択になります。
USB子機は数千円で買えますが、選び方を間違えると「挿したのに遅い」という結果になります。そして遅い原因は、たいてい Wi-Fi の規格ではなく USB側の世代にあります。ここを先に押さえておくと失敗しません。
USB子機で速度を決めるのは2か所ある
1つめ: Wi-Fi の規格と最大速度
TP-Link の Archer TX20U Plus は Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応で、公表値は 合計最大1800Mbps(5GHz 1201Mbps + 2.4GHz 574Mbps) です。ハイゲインデュアルバンドアンテナ×2 を備え、本体サイズは 84×156.3×19.2mm。対応OSは Windows 11/10 で、保証は3年です。
同じ日に発売された Archer T3U Nano は Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)までで、合計最大1300Mbps(5GHz 867Mbps + 2.4GHz 400Mbps)。サイズは 19.85×15.7×7.39mm と極小です。対応OSは Windows 11/10/8.1/8、こちらも保証3年です。
2つめ: USB のバージョン
ここが本題です。Archer TX20U Plus は USB 3.0、Archer T3U Nano は USB 2.0 です。
USB 2.0 の理論値は 480Mbps です。プロトコルのオーバーヘッドを引くと実効はさらに下がります。つまり T3U Nano は「1300Mbps対応」と書かれていても、USB 2.0 の口を通る時点で実効速度に上限がかかります。5GHz で 867Mbps のリンクが張れても、その帯域はUSB側で使い切れません。
一方の TX20U Plus は USB 3.0 なので、Wi-Fi 6 の 1201Mbps を通す余地があります。カタログの最大速度だけを見比べて「1800 と 1300 だから差は少し」と考えると、実際の差を読み違えます。
それぞれのデメリット
Archer TX20U Plus: 大きく、ケーブルが必要
本体は 84×156.3×19.2mm あり、PCのUSBポートに直挿しする形ではありません。アンテナを立てて机の上か背面に置く運用になります。挿しっぱなしで完結する小型子機ではないということです。
利点でもあります。アンテナを立てて位置を動かせるので、PCが机の下や金属ケースの中にあっても電波を拾いやすい。デスクトップPCは床置きが多く、本体直挿しの小型子機は不利になりやすいので、この形は理にかなっています。
対応OSが Windows 11/10 のみと明記されている点にも注意してください。macOS や Linux での利用は想定外です。
Archer T3U Nano: 小さいが USB 2.0 と Wi-Fi 5 止まり
19.85×15.7×7.39mm と極小で、挿したままノートPCを鞄に入れられるサイズです。出っ張りがほぼ無いので、ポートの少ない機種でも邪魔になりません。
ただし上に書いたとおり USB 2.0 で、Wi-Fi 6 には対応しません。回線が1Gbpsの契約で、実効300〜400Mbpsを狙いたいという用途には力不足になりがちです。逆に、Web会議とブラウジングが中心で数十Mbps出れば足りる、という使い方なら実用上の不満は出にくい。
共通: 有線LANには速度でも安定性でも勝てない
どちらの子機を選んでも、LANケーブルを引ける環境なら有線のほうが速く、遅延も安定します。無線子機は「配線が物理的に無理」「模様替えの自由度を優先したい」という条件のときの選択肢です。
Web会議で音が途切れる、画面共有が固まる、といった症状が出ているなら、子機のグレードを上げる前にそもそも有線にできないかを先に検討したほうが、費用も手間も小さく済みます。
おすすめ製品の比較
| 製品名 | 特徴 | こんな人向け |
|---|---|---|
| TP-Link Archer TX20U Plus | Wi-Fi 6、合計最大1800Mbps、USB 3.0、アンテナ2本、84×156.3×19.2mm | デスクトップPCが床置きで、速度を出したい人 |
| TP-Link Archer T3U Nano | Wi-Fi 5、合計最大1300Mbps、USB 2.0、19.85×15.7×7.39mm | 出っ張りを作りたくない人。用途が軽い人 |
| USB 有線LANアダプタ(ギガビット) | 有線接続を足す。無線の不安定さを根本から避けられる | ルーターまでケーブルを引ける人 |
1. TP-Link Archer TX20U Plus
デスクトップPCに無線を足すなら、基本はこちらです。USB 3.0 と Wi-Fi 6 の組み合わせで、子機側がボトルネックになりにくい。アンテナを立てて位置を調整できるので、PC本体が机の下にあっても電波の通り道を作れます。
対応OSが Windows 11/10 に限られる点と、机の上に置き場所が要る点が制約です。発売時の実売予想価格は5,610円前後とされていましたが、価格は変動します。
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2. TP-Link Archer T3U Nano
ノートPCの内蔵無線が古いときの延命に向きます。20mm弱の大きさなので挿したままにでき、持ち運びの邪魔になりません。発売時の価格は2,860円(税込)とされていました。
デスクトップPCのメイン回線として使うには、USB 2.0 という制約が効いてきます。速度を求めるなら選ばないでください。
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3. USB 有線LANアダプタ(ギガビット)
ケーブルを引ける状況なら、これがいちばん確実です。無線子機で解決しようとしている問題の多くは、有線にすると消えます。ルーターまでの距離が長い場合でも、フラットLANケーブルなら扉の隙間やカーペットの下を通せます。
「無線にしたい」のか「配線が無理だから無線しかない」のかを、先に切り分けてください。
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選び方のポイント
- 初めて買う人: USB 3.0 対応かどうかだけを先に見てください。ここが 2.0 だと、Wi-Fi 側の数字が大きくても頭打ちになります。
- コスパ重視: 用途がWeb会議とブラウジングだけなら、小型のWi-Fi 5子機で足ります。無理に上位を買う必要はありません。
- 高機能重視: ルーター側もWi-Fi 6対応でなければ、子機だけWi-Fi 6にしても規格上の恩恵は出ません。両側そろって初めて効くので、ルーターの世代も確認してください。
まとめ
USB無線LAN子機は、カタログの最大速度より USB のバージョンを先に見るべき製品です。Archer TX20U Plus は USB 3.0 と Wi-Fi 6、Archer T3U Nano は USB 2.0 と Wi-Fi 5 で、この組み合わせの差がそのまま実効速度の差になります。
そして、ケーブルを引ける環境なら有線が最も安定します。無線子機は制約のある環境での次善策だと考えて選ぶと、期待値を外しません。
なお価格は変動します。購入前にAmazonの商品ページで型番・対応OS・USBバージョンを確認してください。