在宅ワークのキーボードは、打ち心地よりも先に決まってしまう条件があります。机の上でどれだけ場所を取るか、充電の手間がどれくらいか、複数のパソコンを行き来できるかです。ロジクールの MX KEYS S は同社フラッグシップ「MXシリーズ」のフルサイズキーボードで、2023年6月8日に発売されました。希望小売価格は 19,690円(税込) です。
先に結論を書くと、この製品は「机に置きっぱなしにする人」向けで、持ち運ぶ人には向きません。重量は 810g あり、サイズも 430.2mm × 131.6mm × 20.5mm とフルサイズです。以下、公表されている数字で判断材料を並べます。
MX KEYS S で何ができるのか
サイズは幅430mm・重量810g
公表値は 430.2mm × 131.6mm × 20.5mm(幅×奥行×高さ)、重量810g です。テンキーを含むフルサイズなので、幅は 43cm あります。
これが意味するのは、奥行き60cm程度の一般的なデスクにモニターとノートPCを置いている場合、キーボードの左右に余裕がほとんど残らないということです。マウスを動かす範囲を確保したいなら、机の実寸を先に測ってください。厚さ20.5mm は薄型の部類ですが、フルサイズである以上、専有面積は小さくなりません。
電池はバックライトONで最長10日、OFFで最長5ヵ月
公表値は バックライト点灯時で最長10日、バックライトをオフにした状態で最長5ヵ月 です。充電は USB-C です。
この差は大きいので、使い方を決めるときの分かれ目になります。バックライトを常用するなら、月に3回程度は充電することになります。一方でバックライトを切れば、ほぼ充電を意識しない運用になります。「10日」と「5ヵ月」は同じ製品の話であって、平均ではありません。
スマートバックライト
バックライトはロジクールのソフトウェア Logi Options+ から、光量や点灯時間をカスタマイズできると説明されています。手を近づけると点灯する仕組みを持つのが MX シリーズの特徴です。
暗い部屋で作業する人には効きますが、上の電池の話とセットで考える必要があります。
接続は Logi Bolt レシーバー同梱のワイヤレス
接続は Logi Bolt 対応で、レシーバーが同梱されます。Logi Bolt はロジクールの業務向け無線規格で、以前の Unifying とは互換がありません。手元に Unifying レシーバーが余っていても使えません。この点は、同じロジクール製品を長く使ってきた人ほど間違えやすい部分です。
Smart Actions に対応
ロジクール初のマクロ機能として案内されている Smart Actions に対応します。同時に発表された MX ANYWHERE 3S も対応製品です。決まった手順の操作をキーひとつにまとめたい人には使い道があります。
キー配列は112キーの日本語レイアウト
日本語配列は 112キー の構成です。パンタグラフ系の薄型キーで、メカニカルキーボードのような打鍵感を求める製品ではありません。
購入前に知っておきたいデメリット
810g は持ち運ぶ重さではない
いちばん実務的な制約です。810g は、13インチのノートPC1台の半分以上に相当します。幅も 43cm あるので、一般的なビジネスバッグには入りません。
出社と在宅を行き来する働き方で「どちらでも同じキーボードを使いたい」なら、この製品は選択肢から外れます。その用途にはロジクール自身が MX KEYS MINI という小型モデルを別に出しています。MX KEYS S は据え置き専用と考えてください。
バックライトを使うと充電サイクルが月3回になる
前述のとおり、バックライト点灯時の公表値は 最長10日 です。これは「最長」なので、明るさを上げればさらに短くなります。
USB-C 充電なので充電自体は難しくありませんが、ケーブルを挿している間の取り回しは考えておく必要があります。電池持ちを重視するなら、バックライトを切って5ヵ月側の運用にするしかありません。バックライトが目当てで買うと、この点が毎月の手間になります。
19,690円はキーボード単体としては高い
希望小売価格は 19,690円(税込) です。同じ薄型ワイヤレスのフルサイズキーボードは、5,000円前後から存在します。
差額の 1万5,000円が何に対する支払いかというと、スマートバックライト、Logi Bolt、Smart Actions、そして複数機器の切り替えです。このうち1つも使わないなら、価格差を回収できません。特に、パソコンが1台しかなく、明るい部屋でしか作業しないなら、安価な製品との体感差は小さくなります。
Logi Bolt は既存の Unifying と互換がない
繰り返しになりますが、Logi Bolt と Unifying は別規格で互換性がありません。既存のロジクール製マウスと1つのレシーバーにまとめたい場合、そのマウス側も Logi Bolt 対応である必要があります。
買う前に、いま使っているマウスがどちらの規格かを確認してください。混在すると USB ポートを2つ占有することになります。
薄型キーなのでメカニカルの代わりにはならない
MX KEYS S は薄型キーボードです。ストロークが浅く、押し込む感触を求める人には物足りません。「高い=打鍵感が良い」ではない点は理解しておいてください。打鍵感を優先するなら、同じ予算でメカニカルキーボードを買うほうが目的に合います。
テンキーが要らないなら幅が無駄になる
フルサイズなので右側にテンキーが付きます。数字入力の頻度が低い仕事だと、この幅がそのままマウスの可動域を削ります。テンキーを使わない自覚があるなら、テンキーレスや小型モデルのほうが机は広く使えます。
買うかどうかの判断基準
- 買う価値がある人: キーボードを机に置きっぱなしにする。複数のパソコンやタブレットを1台のキーボードで行き来したい。数字入力が多くテンキーが要る。暗い部屋で作業することがある。
- 買わなくてよい人: 出社と在宅でキーボードを持ち運びたい人(810g・幅430mm)。パソコンが1台だけで機器切り替えを使わない人。メカニカルの打鍵感を求める人。テンキーを使わない人。
出典・確認日
- ロジクール プレスリリース(発売日2023年6月8日・希望小売価格19,690円・重量810g・サイズ・Logi Bolt・Smart Actions・スマートバックライト): https://press.logicool.co.jp/ja-jp/mxanywhere-3s-mxkeys-s/
- 価格.com 製品情報(112キー日本語レイアウト・電池持ちバックライトONで最長10日/OFFで最長5ヵ月・サイズ430.2×131.6×20.5mm): https://kakaku.com/item/K0001548209/
確認日: 2026-09-02。価格・在庫・実売は変動します。購入前にAmazonおよびメーカー公式で最新の条件を確認してください。