在宅ワークでウェブカメラを買い替えるとき、真っ先に目に入るのが「4K対応」という表記です。ロジクールの MX BRIO は同社のウェブカメラの上位モデルで、希望小売価格は 33,000円(税込) です。ノートPCの内蔵カメラから乗り換える対象としては、かなり上の価格帯にあたります。

先に結論を書くと、この製品は「映りを商品にしている人」向けで、社内の定例会議に出るだけなら過剰です。理由は価格そのものと、4Kの使いどころが限られることの2点です。以下、公表されている内容で判断材料を並べます。

MX BRIO で何ができるのか

解像度は4Kで30fps、60fpsは1080pまで

公表されている仕様は UHD 4K @ 30fps または 1080p @ 60fps です。ここは読み違えやすいところで、4Kと60fpsは同時には成立しません。4Kを選べば秒間30コマ、なめらかさを取るなら解像度は1080pに下がります。

これが実務で効くのは、手元を映しながら物を動かすときです。ホワイトボードや紙資料を見せる、機材を手で操作して見せる、といった用途では、解像度より1秒あたりのコマ数のほうが見やすさに直結します。その場合は1080p側を選ぶことになるので、4Kであることは選ぶ理由になりません。逆に、静止に近い構図で顔だけを大きく映すなら4K側が生きます。

センサーはロジクールのウェブカメラで最大、ピクセルは70%大きい

ロジクールは MX BRIO のセンサーについて、同社のウェブカメラで最も進んだもので、ピクセルが70%大きくなったと説明しています。センサーのサイズそのものの数値は公表されていません。

ピクセルが大きいことが効くのは暗いところです。同じ明るさの部屋なら、小さいピクセルのカメラより暗部のざらつきが少なくなります。照明を足したくない人にとっては、ここが実質的な買う理由になります。逆に、すでにデスクライトやリングライトで顔に光を当てているなら、この差は縮まります。

マイクはデュアルビームフォーミングのノイズリダクション

内蔵のデュアル ビームフォーミング ノイズリダクションマイクを備え、AIによる背景ノイズの抑制に対応するとされています。

ビームフォーミングは、複数のマイクの時間差を使って特定の方向の音を拾い、それ以外を抑える方式です。正面に座っている人の声を拾い、横や後ろの生活音を抑えることを狙います。ただし、これは専用のUSBマイクやヘッドセットの置き換えにはなりません。カメラは顔から50cm以上離れた位置に置くもので、口元にあるマイクとは距離が違います。会議で声の品質を上げたいなら、マイクは別に用意するのが順当です。

プライバシーシャッターを内蔵

内蔵プライバシーシャッターを備えます。使わないときにレンズを物理的にふさげるので、後付けのカバーを貼る必要がありません。

在宅で常時カメラを机に置いておく使い方だと、この差は地味に効きます。テープや後付けカバーは、はがれる・粘着が残る・そもそも付け忘れる、のいずれかが起きます。

設定は Logi Options+ と G HUB から

映像の細かい調整は、ロジクールのソフトウェア Logi Options+ と G HUB から行う設計です。

つまり、カメラをUSBで挿しただけでは既定の状態で使うことになり、画角や色の追い込みにはソフトウェアの導入が要ります。会社から支給されたPCでソフトウェアのインストールが制限されている場合、この製品の調整幅は使えません。買う前に、自分のPCにメーカー製ユーティリティを入れられるかを確認してください。

購入前に知っておきたいデメリット

33,000円はウェブカメラとしてはかなり高い

いちばん大きな制約は価格です。33,000円(税込) は、フルHDのウェブカメラなら数台買える金額です。会議で顔が映ればいい、という用途に対しては明確に過剰です。

この金額を出す判断が成り立つのは、映りが仕事の成果に直結する場合に限られます。オンライン講座を配信する、商品を映して説明する、採用面接で相手に見られる時間が長い、といった用途です。社内の定例会議のためだけに買う金額ではありません。

4Kは30fpsで頭打ちになる

前述のとおり、4Kを選ぶと30fpsです。「4K対応」という言葉から60fpsの滑らかさまで期待すると、実際の映像との差にがっかりします。

そして、そもそも受け手側の環境が4Kを通すとは限りません。ビデオ会議サービスは回線状況に応じて解像度を落とすので、送出側が4Kでも相手の画面では大きく圧縮された映像になることが普通です。4Kが生きるのは、録画してから編集する用途です。生の会議で4Kの価値が出る場面は多くありません。

調整にソフトウェアが要る

Logi Options+ や G HUB を入れないと、購入前に見た宣材のような映りには近づけられません。

これは「使えない」という話ではなく、セットアップの手間が1段増えるという話です。複数のPCを使い分けている場合は、その台数ぶんソフトウェアを入れることになります。会社のPCで制限がある人は、実質的に既定設定のまま使うことになるため、価格に対して得られるものが減ります。

マイクがあっても、マイクの買い替えは要る

デュアルビームフォーミングマイクを内蔵していますが、これは「カメラにしては良い」水準であって、口元のマイクには構造上かないません。

「カメラを買ったのでマイクは要らない」という判断はできません。声の品質まで含めて改善したいなら、USBマイクかヘッドセットを別に見てください。カメラのマイクだけで完結できるのは、静かな個室で、口元との距離が短い机に限られます。

こういう人には向いている

  • オンライン講座・商品説明など、映像そのものが成果物になる仕事をしている

  • 部屋が暗めで、照明を足さずに映りを良くしたい

  • カメラを常設していて、物理シャッターがあることに価値を感じる

  • 録画して編集する前提があり、4K30fpsの素材が後から効く

こういう人には向いていない

  • 社内会議に出るだけ。相手側で解像度が落ちるので価格差が回収できない

  • 手元や物の動きを見せることが多い。その用途では1080p60fps側を使うことになる

  • 会社PCでメーカー製ソフトウェアを入れられない

  • 音の改善が本命。それはマイクの領分で、カメラでは解決しない

まとめ

MX BRIO は、33,000円(税込)で4K30fpsまたは1080p60fps、デュアルビームフォーミングマイクとプライバシーシャッターを内蔵したウェブカメラです。センサーのピクセルが従来比70%大きく、暗い部屋での映りに効きます。

判断の分かれ目は、4Kの映像が自分の手元に残るかどうかです。録画・編集して配布するなら4K30fpsの素材は資産になります。会議に出るだけなら、相手側で圧縮されて消えるので、同じ金額を照明とマイクに回したほうが体感の改善は大きくなります。

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