「Ra95」と書いてあるが、何と比べて95なのか

デスクライトやモニターライトの仕様表に Ra95 や Ra94 という数字が並んでいる。高いほうがよさそうだが、94と95の差が何を意味するのかは書かれていない。そもそも何と比べた数字なのかも分からない。

Raは平均演色評価数の略で、光源が物の色をどれだけ本来どおりに見せるかを表す数字である。パナソニックの照明設計資料によれば、これは「中程度の鮮やかさで明るさが等しい8種類の色相を持つ個々の色票の色ズレ(ΔEi;i=1〜8)の平均(ΔE)」から算出される。

計算式まで公開されている。Ra = 100 − 4.6ΔE である。つまり Raは100からの引き算であって、絶対的な点数ではない。色ズレが0なら100になる。

比較の相手は「その光源の色温度と等しい色温度の基準光源」である。基準は固定された1つの光ではなく、色温度ごとに変わる。 同じ色温度でもRaが異なる光源がある、というのはこのためである。

メリット・デメリット

メリット

  • Raは計算式が公開されているので、メーカーごとに意味が違うということが起きにくい。Ra = 100 − 4.6ΔE という同じ物差しである

  • 写真や動画に自分の手元を映す用途では効く。カメラは肉眼より色ズレを拾う

  • 色を扱う作業(印刷物の確認、布や塗料の色合わせ、模型の塗装)では、光源のせいで色が違って見える事故が減る

  • JISには目安もある。パナソニックの資料は「Raが80未満の光源は、仕事したり、長い間滞在する室内では使用しないことが望ましい」と書いている。80が下限の目安になる

デメリット

  • Raは8色の平均でしかない。平均なので、特定の色だけ大きく外していても数字には出にくい

  • 赤の再現はRaに含まれない。鮮やかな赤はR9という別の指標で、Ra(R1〜R8の平均)の外にある。肌や木材、料理の色を重視するなら、Raだけでは足りない

  • 94と95の差は、式の上ではΔEの0.2程度の違いにすぎない。4.6で割れば分かる。カタログの1ポイント差を選定理由にするのは合理的でない

  • Raが高いことと明るいことは無関係である。Ra95でも机に届く照度が足りなければ作業には向かない

  • Raを公表していない製品が多い。書いていない=低い、とは限らないが、確認はできない

買う前に決めておくべき一点

何の色を正しく見たいのかを先に決めてほしい。ここが決まると、Raだけを見ればよいのか、別の数字も要るのかが分かれる。

  • 文字を読む、コードを書く、といった用途では、Raの高さより照度と色温度とまぶしさのほうが効く。Ra80以上あれば実用上の差は小さい

  • 肌の色を見る用途(ビデオ会議で自分を映す、メイク、写真)では、Raだけでは不足である。パナソニックの資料によれば、西洋人の肌色はR13、日本人女性の平均的な顔色はR15という特殊演色評価数で別に評価される。R9(非常に鮮やかな赤)も肌に効く

  • 印刷物や塗料の色合わせでは、Raが高いことに加えて色温度を一定に保てることが要る。色温度が変わると比較の基準そのものが変わる

もう1つ、Raは光源の性質であって、机の上の明るさではないという点も押さえておきたい。同じRa95でも、机に届く照度が300ルクスか500ルクスかで見え方は変わる。Raと照度は別々に確認する。

おすすめ製品の比較

注意: 以下は2026年9月19日に各メーカーの公式製品ページで確認した仕様である。価格は変動するため、購入前に商品ページで最新の情報を確認してほしい。

製品名メーカーRa色温度明るさ形
Z-10G山田照明Ra945000K1057lm/最大直下照度2210Lx(40cm)アーム型・上締めクランプ
ScreenBar HaloBenQRa≥952700K〜6500K(8段階)推奨500ルクスを維持(自動調光)モニター上掛け型

1. 山田照明 Z-10G

アーム型のLEDデスクライトである。公式ページに Ra94 と明記されている。色温度は5000Kの固定で、光束は1057lm、40cmの距離での最大直下照度は2210ルクスと記載されている。消費電力は11.5Wである。

この機種の数字で注目したいのは、Raより照度のほうである。 40cmで2210ルクスというのは、机の上に相当強い光を落とせるということで、調光は10〜100%の無段階になっている。つまり明るさを絞って使う前提の製品である。常に最大で使う設計ではない。

設置は上締めクランプで、取付可能な天板の厚みは45mmまでである。クランプ式なので机の奥に台座を置かずに済むが、天板が45mmを超える机や、奥に壁が接している机では使えない。別売オプションでベースタイプと壁面設置に対応する。

質量は1.4kg、コード長は1.8m、PSE認証済みの専用ACアダプターが付属する。LEDモジュールの光束維持時間は40,000時間と記載されている。公式ページからはアームの可動範囲と本体サイズの数値は確認できなかったため、机の奥行きに対してアームが届くかどうかは、購入前に仕様図で確認してほしい。

価格は公式ページで17,800円(税抜)と表示されている。デスクライトとしては安い部類ではない。 Ra94という数字だけを目的に買うなら、他の選択肢と照度まで含めて比べたい。

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2. BenQ ScreenBar Halo

モニターの上に掛けて使うタイプのライトである。公式ページに Ra≥95で物体の色を忠実に現します と記載されている。色温度は2700Kから6500Kまでの8段階、明るさは15段階で調整できる。

この機種の特徴は自動調光である。 内蔵センサーが環境光を感知し、推奨される500ルクスの照明環境を維持する、と公式ページは説明している。500ルクスという数値が製品側の目標として明示されている点が、照度を自分で決めなくてよい設計になっている。

設置できるモニターの厚みは、平面モニターが0.7cmから6cm、湾曲モニターが1.6cmから3.8cmである。湾曲モニターの許容範囲は平面より狭いので、手持ちのモニターの厚みを測ってから選ぶ必要がある。給電は付属のUSBケーブルで、パソコンかモニターのUSB端子につなぐ。電源タップの口を増やさずに済む。

公式ページからは消費電力、本体サイズ、質量を確認できなかった。モニターの上に載せる製品なので、重さが気になる場合は仕様表で確認してほしい。

Raの観点では、Z-10Gの94に対してこちらは95以上である。ただし前述のとおり、この1ポイントの差はΔEにすると0.2程度であり、体感で区別できる差とは考えにくい。選ぶ理由にするなら、Raの数字より設置の形(アーム型かモニター掛けか)と自動調光の有無のほうが実質的である。

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Raの数字を実際に読むときの手順

1. まずRa80を下回っていないかを見る。パナソニックの資料が書くとおり、仕事をする場所や長時間いる室内では80未満は望ましくないとされている
2. 80を超えていたら、Raの比較はそこで切り上げる。Ra = 100 − 4.6ΔE なので、94と95の差はΔEで0.2程度である。この差を選定理由にしない
3. 赤や肌の色が重要なら、R9・R13・R15の記載を探す。Raは8色の平均で、これらは含まれない。記載が無い製品は「分からない」と扱う
4. 照度を別に確認する。Raは色の正確さ、照度は明るさである。机の上で何ルクスになるかは、光束(lm)と距離と器具の形で決まる
5. 色温度が可変かどうかを見る。色合わせの作業をするなら、色温度が動くと比較の基準が動く。固定のほうが都合がよい場合がある

Raが高い製品ほどよい、という読み方をしない。 Raは「基準光からどれだけズレていないか」であって、作業に適した光かどうかを表す数字ではない。

選び方のポイント

1. Ra80を足切りにする。JISの解説がその線を示している
2. Ra90台どうしの比較に時間を使わない。1ポイント差は式の上で0.2ΔE程度である
3. 赤を見たいならR9を探す。Raの外にある指標なので、Raだけでは判断できない
4. 照度と色温度をRaと別に確認する。明るさが足りなければRaは意味を持たない
5. 設置の形で絞る。クランプ式は天板の厚み制限(Z-10Gは45mmまで)、モニター掛け式はモニターの厚み制限(ScreenBar Haloは平面0.7〜6cm)がある
6. Raを公表していない製品は「不明」として扱う。低いとは限らないが、確認はできない

読者タイプ別には、机の広い範囲を照らし、明るさを自分で決めたいならアーム型のZ-10G(Ra94・5000K固定・1057lm)が候補になる。モニター前の手元だけを照らし、明るさを機械に任せたいならScreenBar Halo(Ra≥95・2700〜6500K・自動調光で500ルクス維持)が候補になる。

まとめ

Raは 100 − 4.6ΔE で決まる数字で、試験色8色(R1〜R8)の色ズレの平均から算出される。比較の相手は、その光源と同じ色温度の基準光源である。絶対的な点数ではなく、基準からのズレの小ささを表している。

実務上は、Ra80を下回らないことを確認し、90台どうしの細かい差は無視してよい。赤や肌の色が重要なら、Raの外にあるR9・R13・R15を探す。そしてRaと照度は別の話なので、両方を見る。

2026年9月19日時点の公式仕様では、山田照明 Z-10GがRa94・色温度5000K・光束1057lm・40cmで最大直下照度2210ルクス・消費電力11.5W・無段階調光10〜100%・上締めクランプ(天板45mmまで)・質量1.4kg・コード長1.8m・LEDモジュール光束維持時間40,000時間である。BenQ ScreenBar HaloはRa≥95・色温度2700K〜6500Kの8段階・明るさ15段階・自動調光で500ルクス維持・対応モニター厚は平面0.7〜6cm/湾曲1.6〜3.8cm・USB給電である。

価格は変動するため、金額はAmazonの商品ページで最新のものを確認してほしい。